エニアグラムの歴史について考える~近代編
エニアグラムの歴史について
『エニアグラムーあなたを知る9つのタイプ【基礎編】』
ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン
という書籍から学んでいきます。
現在使われている性格タイプとしてのエニアグラムの起源は、グルジエフ(1875年生まれ)が説いたエニアグラムよりもっと最近のものです。
グルジェフや弟子が書いた出版物を見てもここまでは性格タイプとしてのエニアグラムを教えた記録は出てきてはいません。
性格タイプとしてのエニアグラムは2つの主な流れに根差しているそうです。
1950年代のはじめ
オスカー・イチャーソ(ボリビア人の心理学者)がエニアグラムの図形と性格タイプとのつながりを発見。
「人間性に反映されている9つの神聖な特質を想起する」
という古代の伝統に由来し、エニアグラムの図形と9つのタイプを結びつけました。
この古代の伝統の考え方は、3世紀ころの新プラトン学派までさかのぼり、プロティヌスという哲学者の著作『エニアッド』にも表れているそうです。
ここでキリスト教の伝統にもその考え方は入っていて、
「7つの大罪(怒り、プライド、妬み、ためこみ、貪欲、欲望、怠惰)」や「とらわれ」となり、そこに2つ(恐れ、欺き)が加わりました。
エニアグラムと「7つの大罪」の共通しているのは「それらはすべて私たちの中にあるが、そのうちひとつがとくに何度も現れやすい」という考え方です。
イチャーソは古代ギリシャ時代から中世文学にいたるまで探求を続けました。
カバラの哲学の中心にある「生命の樹」と呼ばれるシンボルがありますが、そこにはエニアグラムのように、一体性・3つの要素・7つの部分を伴う展開のプロセスという考え方を含みます。
こうした様々な資料のすべてをエニアグラムの図上に正しい順序で位置付けることができ、初めて様々な伝播の流れが一つになり、今日私たちが知っているようなエニアグラムの基本形ができたのが1950年代半ばでした。
クラウディオ・ナランホ(精神科医)がイチャーソの元で学び、イチャーソの簡単なタイプ説明を発展させていきます。
そして、タイプを理解するためにパネルを使うという方法を1970年代から始めました。
パネルを使うというのは、特定のタイプないしは精神医学的に分類された人々を集め、インタビューして、類似性に焦点を当てたり、さらなる情報を引き出すというもの。
ナランホのパネル方式は、古代からの口伝とは異なっており、口承されてきた知識体系に由来するものでもない、エニアグラムを解明し、教えるための一つの方法として急速に広まっていきました。
ここまでのイチャーソとナランホの基礎研究があり、そこから多くの研究者がエニアグラムを発展させ、多数の新しい側面を発見していきます。
そして1977年、ソン・リチャード・リソが「成長のレベル」を発見したときに大きな突破口が訪れました。
レベルという考え方は、人々が人生において実際に通過する、成長と崩壊の段階的な変化を明らかにしてくれました。
また、どの特徴と動機が、どのタイプに対応するか、またそれはなぜかを示しています。
そして、私たちが自らの性格にどの程度一体化(同一化)し、自由を失っているかを表しています。
1991年にラス・ハドソンがリソの研究に加わり、リソが開拓した考えをさらに発展させ、タイプについてのより深い構造とともに、自己成長のためのエニアグラムの意味合いを多く明らかにしています。
そして様々な書籍が発表され私が今読んでいる
『エニアグラムーあなたを知る9つのタイプ【基礎編】』
ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン
も出版されました。
という流れで現在のエニアグラムができあがってきているそうです。
性格タイプとしてのエニアグラムは思ったより最近に完成したものなのだと知り驚きました。
でもその中には確かに古代ギリシャから伝わる伝統的な古代の知恵が含まれている。
伝統的な古代の知恵が折り重なって、きちんとあのエニアグラムの図に織り込まれていること。
比較的シンプルな図ではあるのに、その図に含まれる情報量といったらそれはもう膨大なものです。
それを初めてエニアグラムを知った時からなんとなくでも感じるからこそ、エニアグラムに多くの人が魅了されてしまうのかもしれません。
私もその一人。
エニアグラムの奥深さに何度もうなり、歓声をあげました。
この前なんて新しいことを学んだときあまりに感動しすぎて「おめでとうございます!!」と言ってしまいましたし(笑)
今回エニアグラムの歴史を見ていきましたが、流れを知ることでより認識の深みが増しました。
知ることで以前よりもっとエニアグラムに魅了されています。
これからはこういうことも含め、エニアグラムの魅力を多くの方に伝えられたらいいなぁと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。